当院からのメッセージ
「痛みが強くて仕事や家事ができない」「痛みが次第に強くなっていく」「月経時以外にも下腹部や腰が痛い」「痛み止め薬が効かない」など…。お身体に痛みや不快感を抱えてはいないでしょうか?
普段から生理痛を経験していると、単なる生理痛だと勘違いして痛みを放置しがちです。20代〜30代に多い痛みや不調は、症状をそのままにしておくと症状が進行して、不妊症をはじめとする様々な病気の原因となります。
そのためには、早期発見が何よりも大切です。痛みを我慢することなく、「何かいつもと様子が違うな…」と感じたら早めにご相談頂けると幸いです。
盛岡市の今井産婦人科内科クリニックでは、女性が抱えるお悩みや病気に対して、早期発見・早期治療を致します。まずはお一人で悩みを抱えることなく、お気軽にご相談下さい。
子宮筋腫
女性の4人に1人はかかる症状
子宮筋腫は、子宮壁にできる良性の腫瘍です。
腫瘍ができる原因は明確ではありませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンが作用して、筋肉が異常増殖すると考えられています。
こんな症状はありませんか?
- 貧血が頻繁に起こる。
- 頻尿気味で、夜中、トイレに行くことが多くなった。
- 便秘に悩まされることが多い。
- 普段よりも強い月経痛がある。
上記のような症状によって当院を受診される患者様が多いですが、必ずしも症状が出る訳ではありません。
また、患者様によって進行度合いは異なります。
子宮筋腫は突然、悪性腫瘍に変化することはほとんどありません。
しかし、不妊症の原因になることも少なからずありますので、早めに治療するようにしましょう。
子宮筋腫の種類
- 筋層内筋腫:子宮壁の筋層内にできる筋腫
→月経時の経血が増える。不妊症の原因になることもある。 - 漿膜下(しょうまくか)筋腫:子宮壁の外側にできる筋腫
→膀胱・直腸などを圧迫し、頻尿や便秘の原因になることもある。 - 粘膜下筋腫:子宮の内側にできる筋腫
→過多月経による貧血が強く出ることが多い。不妊症の原因になることもある。 - 頸部筋腫:子宮の腟側にできる筋腫
→過多月経になり、貧血状態が起こりやすくなる。
患者様のお身体の状態に合わせた治療法を
子宮筋腫の治療法は、筋腫がどの部分にできているか、そしてその大きさや数を考慮した上で最終的に決定していきます。
- 経過観察
→1年に数回の検査を経て、筋腫の変化を確認していきます。 - 薬物療法
→薬物によって女性ホルモンの分泌を止めて、一定期間、無月経の状態にします。(GnRHアナログ療法) - 手術療法
→筋腫だけを摘出する「筋腫核出手術」と子宮をすべて摘出する「子宮全摘出手術」があります。
閉経が近い患者様は、手術という選択ではなく、閉経まで薬物療法によって対処することを推奨しています。つまり、子宮筋腫の治療は、症状だけでなく、年齢なども含めた複合的な判断が必要です。
子宮内膜症
月経のある女性の10人に1人が発症する病気
子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の場所で発育・増殖する病気です。
主な症状としては、
- 月経痛
- 月経時以外の下腹痛・腰痛
- 性交痛
- 排便痛
以上があげられます。
原因不明の不妊症の方の約50%が子宮内膜症が存在すると指摘されています。
子宮内膜症が卵巣に発生すると、卵巣チョコレート嚢胞といわれる腫瘤をつくります。
診断と治療について
総合的な診断を
- 内診
- 画像診断(超音波検査・MRI検査など)
- 血液検査(腫瘍によって血中に増加する物質を測定)
以上のような診断を行っていきます。
子宮内膜症、特に卵巣チョコレート嚢胞を発症した患者様は、卵巣癌の発生率が高くなることが分かっています。
卵巣チョコレート嚢胞に際しては、卵巣癌の合併、共存の可能性を念頭におくことが重要です。
術後も厳重な経過観察が必要です
卵巣チョコレート嚢胞の経過観察中に、検査によって悪性を示唆する診断結果が出た際は、早期に外科的手術が必要となります。卵巣癌は40歳代以降で高くなると言われています。小さな腫瘤からも卵巣癌が発症する可能性もあるため、患者様が40歳以上の場合は、卵巣摘出が推奨されることが多いです。
子宮筋腫とは違い、卵巣チョコレート嚢胞は閉経後に萎縮したり、消えることはほとんどありません。逆に癌の発生率が高くなる傾向にあります。40歳未満の方でも、わずかではありますが卵巣癌を合併する症例があります。
卵巣チョコレート嚢胞については、術後の経過観察も含め、慎重に進める必要があります。
不正出血
生理時以外の出血はありませんか?
生理期間以外に出血がある場合、それは不正出血であると言えます。
出血の量は患者様それぞれ異なりますが、下着がほんのりピンクや褐色に色づく程度から、生理と同じくらい多量なケースも御座います。
中には特に問題のない不正出血も考えられますが、疾患のサインであることも少なくありません。
早めに当院へご相談下さい。
不正出血をともなう疾患
- 子宮頸管炎
- 子宮頸管ポリープ
- 子宮膣部びらん
- 子宮内膜炎
- 子宮内膜症
- 子宮外妊娠
- 子宮筋腫
- 子宮頸がん
- 子宮体がん
予防と対処法について
年に1度の婦人科検診を
「子宮頸がん」「子宮体がん」は、どちらも早期発見によって完全に治癒することが可能です。問題は、進行の度合いです。身体に異変を感じる頃には、症状が悪化していることは少なくありません。今井産婦人科内科クリニックでは、年に一度、婦人科検診の受診をお勧めしております。定期健診を受けましょう。厚生労働省でも、20歳以上の女性に対して「子宮頸がん」「乳がん」の定期検診を推奨しています。
盛岡市でも成人検診が実施され、当院では子宮頚がん検診を行なっております。
また、日頃からストレスを溜めない生活を送るように心がけましょう。
女性にとって、ストレスはホルモンバランスを崩してしまう大きな要因となります。
※異変を感じたら、すぐにご相談ください
少しでも不正出血があれば、早めに診察を受けるように心がけましょう。常に基礎体温表を記録しておくと、早期発見や治療に役に立ちます。
おりもの異常
「量が多い」というご相談
おりものの量は個人差が大きいうえに、その人の感じ方も違うので、正常かどうかをチェックするのは難しいところです。ひとつの目安としては、おりものシートでカバーできるようなら正常の範囲内と考えられます。それでは間に合わず、生理用ナプキンが必要な場合は、何か異常のある可能性が高くなりますので、一度ご相談下さい。
おりものの量は、女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌に比例します。初経の頃、卵胞ホルモンの分泌がはじまると、おりものもたくさん分泌されるようになります。月経が安定し、規則正しく来るようになると、排卵の頃(月経と月経の中間あたり)には、卵胞ホルモンの分泌が多くなるので、おりものの量が増えるのが一般的です。この時期に、卵の白身のような粘り気のあるおりものが多く分泌されるのは、ごく一般的なことなので心配ありません。
妊娠中も卵胞ホルモンの分泌が多くなるので、おりものの量が増えます。
一方、おりものの量が少なくなるのは、女性ホルモンの分泌が低下する更年期。個人差はありますが、40代の頃からおりものの量が少しずつ減ってきて、閉経すると極端に少なくなります。
思春期以前や閉経以後の場合は要注意
おりものの量が多いだけで、色やにおいに異常がなく、外陰部のかゆみもない場合は、「子宮腟部びらん」の可能性があります。びらんは大人の女性ならほとんどの人に見られるものなので、とくに心配はありません。ただ、おりものの量が多すぎたり、出血がたびたびあるようなら、性感染症(STD)などの病気の可能性がありますので、一度ご相談下さい。
本来、おりものがほとんどない思春期以前や閉経以後の場合、量が増えるのは異常を知らせるサインである可能性が高いです。たとえ多量ではなくても、違和感があれば婦人科でチェックすることをお勧め致します。
甲状腺疾患
甲状腺は、皆さんが生きていくのにとても大切な甲状腺ホルモンを作り、分泌する臓器です。甲状腺疾患とは、その甲状腺の異常や障害によって引き起こされる症状です。
全身に様々な症状が現れるという特徴があり、どこが悪いのか判断できずに「いつも体調が優れない状態」になっていることが多いです。自覚症状がないこともあるため、症状を我慢してしまったりすることも考えられます。
女性に多いとされている甲状腺疾患
首の前部の腫れ
最も顕著に表れるのは、首の前部の腫れ(甲状腺腫)です。
ご自身で甲状腺腫に気付く方、または家族や友人などに異変を指摘されて、受診される患者様もいらっしゃいます。
また、バセドウ病の特徴である目の症状(眼球突出)がきっかけでご相談されるケースも御座います。
機能異常による症状
- 動悸が激しくなることが多い。
- 手指が細かくふるえることがある。
- 朝起きた時に、顔や手がむくんでいる。
- 暑がり、もしくは寒がりになった。
- 喉が乾きやすく、汗をたくさんかく。
- 便秘になりやすくなった。
- イライラしやすくなり、集中力が落ちてきたように感じる。
- 脈が穏やかになった気がする。
- 肌が乾燥し、カサカサになった。
- 体が重く、だるく感じるようになった。
以上のような自覚症状があり、当院にご相談頂くことがあります。
自覚症状がなくても、健康診断・人間ドックで甲状腺の腫れを指摘されたという患者様もいらっしゃいます。
別の疾患で受診した際、血液検査・超音波検査で発見されることも少なくありません。
甲状腺の病気の特徴
バセドウ病
甲状腺にあるTSHレセプターに対する自己抗体(TSHレセプター抗体、TRAb)ができてしまい、このTRAbが甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが必要以上に作られるためバセドウ病になると考えられています。
ホルモンの合成・分泌過剰によって、
- 全体的なはれ
- まぶたのはれ
- 眼球に異常
以上のような症状が現れます。
橋本病
甲状腺にリンパ球が浸潤し、甲状腺に障害を与える自己抗体(抗TgAb抗体、抗TPO抗体)が出現します。
その結果、甲状腺細胞が炎症・破壊される疾患です。
ホルモンの合成・分泌低下によって、
- 全体的なはれ
が現れます。
検査について
甲状腺機能検査
測定するのは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と実際に作用を示す遊離型甲状腺ホルモン(FT4、FT3)です。
これは簡単な血液検査により、甲状腺の機能(正常・亢進・低下)を知ることができます。
甲状腺自己抗体検査
バセドウ病を疑う時には、TRAbを測定することで、甲状腺を刺激されているかどうかを知ることができます。
橋本病を疑うときは、TgAbとTPObを測定することで、甲状腺に炎症があることかどうかを知ることができます。
治療方法について
バセドウ病
3種類の治療方法があり、過剰な甲状腺ホルモンを正常にさせます。
- 薬物治療
→薬物(抗甲状腺剤)により甲状腺ホルモンの産生を抑制します。 - アイソトープ治療
→アイソトープが入ったカプセルを内服し、甲状腺細胞を減らすことにより、甲状腺ホルモンが産生が正常化します。 - 手術
→甲状腺の一部を残し、切除することにより、甲状腺ホルモンが正常化します。
以上のような治療法が施されます。
橋本病
不足している量の甲状腺ホルモンを薬として服用し、甲状腺ホルモンを正常化します。
- 甲状腺ホルモン補充療法
→身体に不足している甲状腺ホルモン量を補充(レボチロキシンナトリウムを内服)します。
甲状腺の病気の診断がつき、治療さえきちんと受ければ見違えるほど元気になります。
仕事・運動・食事・妊娠など、健康な人と同じように、何でもできるようになりますので、しっかりと治療に励んでいきましょう。
高脂血症
動脈硬化発症の原因に
高脂血症は脂質異常症とも呼ばれており、血中のコレステロールや中性脂肪が過多になる病気です。
最も多いのが、血管の壁に脂質が蓄積されて血流が阻害される動脈硬化の発症です。
さらに動脈硬化から以下のような様々な臓器の疾患へと移行していきます。
- 心臓:心筋梗塞、狭心症
- 血管:大動脈瘤、大動脈瘤破裂、閉塞性動脈硬化症
- 脳:脳梗塞、脳卒中
- 腎臓:腎不全、腎硬化症
などの、重大な病気を引き起こす原因にもなります。
高脂血症は、早期に治療することで重大な病気は防ぐことができます。しかし、自覚症状がほとんど無いこともあり、放置してしまうことも少なくありません。受診される時には、既に病気が進行していることも多く、普段の生活の見直しがとても大切です。
高脂血症の主な原因
生活習慣が根本的な原因であることが多いため、生活習慣病の一つであると言えます。
そのため、
- 食生活の乱れ
→過度なカロリー摂取(糖質の多い食事・間食、脂分:動物性脂肪の多い食事、野菜不足) - 運動不足
→筋力低下、骨がもろくなる。 - ストレス
→交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げる。 - 喫煙
→ニコチンが血中コレステロールに影響
以上のような生活習慣を改めていくことが大切です。
ストレスは交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げます。同時にコレステロール濃度や血糖値が高まることが分かっています。また、ストレスが暴飲暴食や生活の乱れを推し進めてしまうことが多く見られますので、心身ともにストレスがかかった生活習慣は見直すポイントとして重要です。
検査・診断について
一般的な健康診断でも行われる血液検査で調べます。
血液検査でチェックする各コレステロールの値で診断します。
- 総コレステロール(異常値=220mg/dL以上(ただし近年ではLDLの方が重要視される)
- LDLコレステロール(異常値=140mg/dL以上)
- HDLコレステロール:異常値=40mg/dL未満
- 中性脂肪(異常値=110~150mg/dL以上 ※年齢による)
以上の数値がそれぞれ基準値を越えているかどうかを確認していきます。
それぞれのコレステロールの高低に応じて、「高コレステロール血症」、「高LDLコレステロール血症」、「低コレステロール血症」、「高中性脂肪血症」と細分化されています。
治療方針について
食事の習慣を中心に改善していき、併せて運動療法を行ないます。また薬物療法でコレステロールのコントロールをします。なお、治療の目的は血中脂質を下げることに加え、動脈硬化の進行を阻止することも含まれます。したがって、動脈硬化に関連する原因の排除も治療の中に含まれます。
食事療法
主に以下の観点から食事の習慣を改善していきます。
- 過食を控える。
→一日に必要なカロリーを念頭に置き、そのカロリーを越えない程度の食事にします。 - 動物性脂肪の多い食事を控える。
→飽和脂肪酸が多いためLDLコレステロールを増加させます。 - コレステロールの多い食事を控える。
- 過剰なアルコール摂取や間食を控える。
→アルコールや間食は中性脂肪を増加させます。 - 食物繊維の多い食事を意識する。
→食物繊維は消化器へのコレストロールの吸収を抑える効果があります。 - ビタミンを多く摂取する。
→ビタミンにはコレステロールの酸化を防止します。
コレストロールが酸化すれば動脈硬化を悪化させるため、ビタミンは積極的に摂ることが良いとされています。
運動療法
ウォーキングやランニング、水泳などの有酸素運動を習慣づけます。肥満解消にもなり、血行促進が期待できます。
また、LDLコレステロールの減少とHDLコレステロールの増加に効果があることが分かっています。
高脂血症の薬物療法
高脂血症の治療は、基本的に食事療法と運動療法になりますが、効果がそれほど出ない場合は薬物療法を組み合わせて行ないます。
LDLコレストロールと中性脂肪をそれぞれ減少させる薬剤を用います。
治療後の注意点
高脂血症の程度が生活習慣に根ざしていることから、合併症に至る前に治療が終われば、改善された生活習慣を続けることで良好になります。ただし、遺伝的に脂質異常になりやすいケースもあるため注意は必要です。
自覚症状がなく病気の状態が分かりにくいため、定期的に血液検査を受けて血中コレステロールや中性脂肪の値を把握しておくことが大切です。また、症状を感じないからといって薬の服用を個人判断でやめることは避け、医師の指示通りに服用を続ける必要があります。