子宮筋腫とは
女性の4人に1人は経験する病態
子宮筋腫は、子宮壁にできる良性の腫瘍です。
腫瘍ができる原因は明確ではありませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンが作用して、筋肉が異常増殖すると考えられています。
こんな症状はありませんか?
- 貧血が頻繁に起こる。
- 頻尿気味で、夜中、トイレに行くことが多くなった。
- 便秘に悩まされることが多い。
- 普段よりも強い月経痛がある。
上記のような症状によって当院を受診される患者様が多いですが、必ずしも症状が出る訳ではありません。
また、患者様によって進行度合いは異なります。
子宮筋腫は突然、悪性腫瘍に変化することはほとんどありません。
しかし、不妊症の原因になることも少なからずありますので、早めに治療するようにしましょう。
子宮筋腫の種類
- 筋層内筋腫:子宮壁の筋層内にできる筋腫
→月経時の経血が増える。不妊症の原因になることもある。 - 漿膜下(しょうまくか)筋腫:子宮壁の外側にできる筋腫
→膀胱・直腸などを圧迫し、頻尿や便秘の原因になることもある。 - 粘膜下筋腫:子宮の内側にできる筋腫
→過多月経による貧血が強く出ることが多い。不妊症の原因になることもある。 - 頸部筋腫:子宮の腟側にできる筋腫
→過多月経になり、貧血状態が起こりやすくなる。
治療法について
患者様のお身体の状態に合わせた治療法を
子宮筋腫の治療法は、筋腫がどの部分にできているか、そしてその大きさや数を考慮した上で最終的に決定していきます。
- 経過観察
→1年に数回の検査を経て、筋腫の変化を確認していきます。 - 薬物療法
→薬物によって女性ホルモンの分泌を止めて、一定期間、無月経の状態にします。(GnRHアナログ療法) - 手術療法
→筋腫だけを摘出する「筋腫核出手術」と子宮をすべて摘出する「子宮全摘出手術」があります。
閉経が近い患者様は、手術という選択ではなく、閉経まで薬物療法によって対処することを推奨しています。つまり、子宮筋腫の治療は、症状だけでなく、年齢なども含めた複合的な判断が必要です。
GnRHアナログ療法について
GnRHアナログ療法とは、女性ホルモンの産生を低下させることで、症状を改善させる治療法です。
お薬の種類としては、
- 錠剤薬
- 点鼻薬
- 注射剤
があります。
錠剤薬 – レルミナ錠
GnRHアナログ療法で使用する錠剤薬の1つ、レルミナ錠は子宮筋腫を増大させる原因となる女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の産生を低下させる働きがあります。それによって、子宮筋腫による様々な症状を改善します。
改善が期待できる症状は下記の通りです。
- 過多月経
- 下腹部痛
- 腹痛
- 貧血
レルミナ錠の服用は、必ず医師の指示に従って服用していただきます。
レルミナ錠 服用の注意
妊娠または妊娠している可能性のある患者さん、及び授乳中の患者さんは服用できません。
また、
- エリストロマイシン
- リファンピシン
- 性ホルモン剤
など、他のお薬を服用している場合は注意が必要です。必ず事前にご相談ください。
注射剤:リュープロレリン酢酸塩注射用キット「あすか」
GnRHアゴニスト:リュープロレリン酢酸塩というお薬を注射する治療です。卵巣の活動を司どるGnRHというホルモンの働きが一時的に停止して閉経状態となり、卵巣からのエストロゲン分泌が低下します。この作用によって、子宮内膜症や子宮筋腫の病変を抑え、痛みや過多月経などのさまざまな症状を軽減させます。
注射部位が赤く腫れたり痛みを感じることもあります。また、副作用として更年期や閉経後の女性に起こりやすい更年期症状がみられる場合もありますので、異常が見られた場合は速やかにご相談ください。